トロントは寒い!?

今日は半年ぶりのトロントからブログを届ける。沖縄からの移動で極寒のカナダを心配していたけど、今週はまるで春のようで、今日の日中なんて摂氏18度。大阪やバンクーバーの最高気温より10度も高い。トロントで会う人全員に、Kenはラッキーだとか太陽を運んできたと言われる。

もしトロントについて知識がない人が今週だけ旅行に来てトロントの情報を発信したら「トロントは大阪より暖かかった。」と書くかもしれない。その記事を読んだ人は友達に「トロントは大阪より暖かいと書いてあったよ。」と話をして、それを聞いた友達はまた次の人へ「トロントは大阪より暖かい。」と伝え情報は拡散される。時には「トロントは沖縄より暖かい。」と変えられて。

トロントのことを知っている誰かが共有された情報を見て「トロントが暖かいのは今週だけ。」と修正するかもしれない。しかし、最初の情報を受けとった人に、修正された情報が届くとは限らない。むしろ届かないことの方が多い。また、これが有名なトロントではなく、無名のムババーネのことだったらどうだろう。訂正できる人がどれだけいるだろうか。「トロントが暖かい」というのは嘘ではない。ただし「今週だけ」という重要な情報が抜けている。

 

日本のキュレーション

ガイドブックは本当のことを教えてくれないといつ叫んでいるのは、商業広告で記事が操作されているからだけでなく、どれだけ知識と経験がある人が、どれだけ事実を調べて書いたものかわからないという理由もある。本人は嘘を広めるつもりはなくても、その人の知識と経験によっては先に述べた「トロントは暖かい」のように嘘ではないけど真実でもないことが広まる。それでも個人のブログはこれから説明するキュレーションサイトの23倍は役にたっている。最初から公平性に欠ける独断と偏見の素人の記事と分かっているから鵜呑みにしないし、その人の背景を考慮して読めば見方も変わりおもしろい。

不正確な情報とをわかってながらせこい方法で記事を量産し拡散し続けた確信犯が炎上したWELQ。それに加担するライターもパクリ記事を問題とせず拡散するユーザーも被害者であり加害者でもある。DeNAだから大きなニュースになったけど、検索上位対策だけで信用できない同類のキュレーションサイトは世の中に腐るほどある。Googleも対策に動いているが未だにほとんどが野放しにされている。例えば、xxTravelやxxTripといった旅行系キュレーションサイトは、現地に行ったこともない人が拾って来た写真を添えていい加減に書いた記事が量産している。読者も行ったことがなく知らないから、それが嘘かどうかもわからず放置される。だってムババーネについて何を書いてもほぼ誰も知らないでしょう。

 

カナダのマスメディア

トロントに来てから一番よく聞く人の名前は、ドナルド・トランプ。政治・経済に疎かったU23の元スタッフですら、朝に聞いたトランプのニュースが、夜になるとまた違う発言をしてニュースになっていると隣国の大統領に目が離せないでいる。ホームステイ先でも毎日のように話題になる。トランプの大統領当選が決まった時にはカナダ移民局にアクセスが殺到しサーバーがダウンしたり、難民が移民するために命を賭けて極寒の中でカナダへ辿り着いたり、たった一人の人間が多くの人々の人生を変えているのだからそうなるのも必然だ。安倍総理と異常に長い握手をした大国のトップが、日本に与える影響は計り知れない。

移民の国カナダでは、カナダのCBCだけでなく、アメリカ合衆国のCNNもイギリスのBCCをはじめ世界中のテレビが放送されている。だから、「外から見たアメリカ合衆国」も「内から見たアメリカ合衆国」も知ることができる。チャンネルによりポジティブなもの、ネガティブなもの、ニュートラルなもの、保守、リベラル、右翼、左翼、タカ、ハトいろいろあるけれど、様々な視点のニュース番組がある。それを深く掘り下げて、いろんなコメンテンターと議論す番組もある。

対して日本のテレビは、どのチャンネルを回しても同じ内容の繰り返し。すべて日本のエライ人たちに報道統制されているのだ。世界に影響を与えるニュースをそっちのけで、芸能人のゴシップに騒いでいる。BGMのようにテレビをつけっぱなしにする家庭も多く、自分の意思で情報を選ぶのではなく受け身で情報が入ってくる。そんな日本人にとっては、アメリカ大統領選よりAKB総選挙の方が、イギリスのテリーザ・メイ大統領やカナダのジャスティン・トルドー大統領より海老蔵やベッキーの方が有名にもなるわけだ。先日のトランプの入国制限に関する報道をCNNやBBCがトップニュースで扱っている時も、NHKですら全く放送されず国際ニュースでサンバ音楽を紹介していたという。

メディアは国民を洗脳していると気づいたら、今すぐテレビを窓から捨てよう。2001年に移動しながら暮らすノマドライフをきっかけにテレビを捨てたが、今振り返っても素晴らしい英断だった。あの頃の自分を褒めてあげたい。テレビを捨てたことと留学したことで、洗脳から解き放たれた。国民を洗脳するマスメディアについて知りたい人は、「マスコミ 洗脳」などのキーワードでgoogle検索したらいろいろわかるだろう。もちろんその記事も鵜呑みにしないように注意して読もう。インターネットで昔よりはましになっただろうけど、いつの時代もエライ人に都合の悪いことはあの手この手で隠蔽される。今の日本でも程度の差はあれど某国と同じように、勇気ある人がブログやSNSで発信しても圧力がかかり削除されている。インターネットの検閲が強化されたら、日本でもこういう記事も読めなくなるかもしれない。英語の記事を読めるようになろう。それもいつ検閲対象になるかわからないけれど。

 

フェイク・ニュース

アメリカ合衆国の大統領選に大きな影響を与えたと言われるフェイクニュースとは、事実ではない虚偽のニュース、デマ、ガセネタのこと。今までもあったけど、インターネットとソーシャルネットワークの普及し、見出しだけ見て記事を確認しない人が増え、かつてないスピードで虚偽の情報が世界に広がる。先のアメリカ合衆国大統領選では「ローマ法王がトランプ氏を支持」とか「クリントン氏の流出メール担当のFBI捜査官が無理心中」といったフェイクニュースがFacebookで拡散された。日本でも去年の熊本地震で「動物園からライオンが放たれた」とTwitterで拡散されたの目にした人もいるだろう。

フェイク・ニュースの目的は、お金儲け、プロパガンダ(政治的宣伝)、愉快犯。善意の情報弱者がフェイクニュースを拡散し、報道機関すら騙してしまう。あるライターは、「お金を稼がないといけないので、悪魔に魂を売るようにガセネタなども書いてしまった」「情報が多少、正確じゃなくても、『周りもやっているんだから自分も多少は』と考えた」と告白している。これもメディアが仕込んだフェイク(嘘)かもしれないけど、同じような発言をするライターは他にもいる。

ポスト・トゥルースという言葉も、イギリスが国民投票でEU離脱を決定した頃から流行っている。日本語訳が難しいが「真実の終った後」と訳せばいいだろうか。ポスト・トゥルースを2016年を象徴する言葉に選んだオックスフォード辞書には「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」とある。分かりやすく言い換えると「面白みのない真実よりも、面白い嘘の方が拡散される。」「信じたくない都合の悪い真実よりも、自分にとって都合のいい嘘を人は信じる」と言うことだ。

イギリスのBCCは、フェイクニュースに対抗し、スピードとボリュームの競争から降り、分析や深掘りしていくスローニュースに力を入れると表明している。アメリカ合衆国のCNNなど、ファクト・チェック、つまり事実の真偽を検証する報道も増えている。カナダの最大部数を誇る日刊新聞、我らのトロント・スター紙による「ドナルド・トランプが最初の4週間に大統領として言った80件の偽の完全リスト」記事は興味深い。それぞれ万能ではないけど、報道が変わるきっかけになればいい。嘘が蔓延する日本の報道にも取り入たら、少しはましになるかもしれない。今の日本のメディアだと、ファクトチェックもどきやスローニュースもどきの虚偽で塗り固められそうでもある。

 

嘘を見抜く23の方法

嘘を嘘と見抜く方法を教えてくださいと、ときどき聞かれるのでまとめてみた。勘違いしないで欲しいのは、世の中には知らない方が幸せということもあるということ。何でも嘘と疑って行動しない人はチャンスを逃す。人を信じられない生き方は寂しい。嘘が真実に変わることもある。騙されることがいつも悪いとは限らず、フラシーボ効果の偽薬でも効果があったら喜ばしい。

  • 自分の頭で考える
  • 自分の目で見る
  • 事実と解釈を切り分ける
  • 感情論にしない
  • 多面的に物事を捉える
  • 多数決で判断しない
  • 肩書きに騙されない
  • 虚偽の事例を学ぶ
  • 情報を疑い鵜呑みにしない
  • 情報の8割ぐらい嘘であると思う
  • 情報源(一次ソース)を調べる
  • 誰が書いているか調べる
  • 更新日を調べる
  • 見出しで判断せず本文を読む
  • 画像・映像は本物か確認する
  • データ(信憑性・見せ方)を疑う
  • 掲載媒体の信頼性を調べる
  • 複数・反対の意見を調べる
  • 報道統制されてないか調べる
  • 商業広告でないか調べる
  • 敢えて騙されてみる
  • 嘘だったらどうなるか考える
  • 自分が嘘をついていないか問う
  • 分かっていることも違う面から見直す

これだけチェックしても時間と費用をかけた組織によるフェイクや真実の中に虚偽が混ざっている巧妙なフェイクを見極めるのは難しく騙されてしまうかもしれない。彼らは9割の真実の中に1割の嘘を仕込を込んでくる。騙されたとネガティブにならない物事の見方も必要。フェイクニュースの拡散対策には、見出しを見て条件反射で共有するのをやめるだけでもましになるだろう。日本を内から見たことがない人が、留学をして日本を外から見れば見える世界も変わる。

 

残酷な真実より優しい嘘

人を傷つける嘘は嫌いだけど、必ずしも嘘が悪とは思わない。ピカソの言葉を引用するなら「Art is the lie that enables us to realize the truth(芸術とは、われわれに真実を悟らせてくれる嘘である)」。サプライズで驚かせるための嘘もあるし、「April Fool(エイプリール・フール」のウィットに富んだジョークはおもしろい。「White Lie(ホワイト・ライ/嘘も方便)」という言葉もある。ただ、嘘を嘘と見抜ぬかなければいけない場面で、情報を見極める感性が欲しい。そして、残酷な真実より優しい嘘をつける人になりたい。そのためには、もっともっといろんな世界を冒険して、違う物事の見方をして、仕事も勉強も恋愛も遊びもやらなければと想う、暖かいトロントの1日。

Change The Future…

 

参考サイト

Facebook is still figuring out how to tackle fake news
Feb 14, 2017 by Ryan Lawler
http://jp.techcrunch.com/2017/02/15/20170214facebook-fake-news-code-media/

The complete list of all 80 false things Donald Trump has said in his first 4 weeks as president
Fri., Feb. 17, 2017 by DANIEL DALEWashington Bureau
https://www.thestar.com/news/world/2017/02/03/daniel-dales-donald-trump-fact-check-updates.html

Finding Solutions for Fake News
December 2, 2016 by Benjamin Bathke
http://mediashift.org/2016/12/combat-fake-news/

フェイクニュースとヘイトスピーチ──アドテク企業は「未来の言論空間」を守れるか?
2017.02.21 TUE 17:00 by DAVEY ALBA
http://wired.jp/2017/02/21/ads-fake-news/

ネットに広がる「フェイク・ニュース」― 嘘と真実の見分け方とは
2016年12月5日(月)15時00分
小林恭子(在英ジャーナリスト)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/post-6474.php

フェイクニュース特集 あなたは被害者?加害者?
クローズアップ現代2017年2月7日(火)放送
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3930/1.html

Author Profile

Ken UtsumiCEO / Art DirectorTwitter:@u23ken
住所不定のノマドライフ、職業不明のトラヴェラー、無国籍のコスモポリタン。旅しながら仕事x勉強x趣味x恋愛。Future Life/Work《未来の生き方/働き方》に挑戦。ヒト・アイデア・夢をつなぐHUB。留学・クリエイティブ・ITを支援。神戸生まれサッカー馬鹿。『World Odyssey: 世界23周の旅』5周目。